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中国ラジオドラマ市場に火を付けたSF小説『三体』

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中国ラジオドラマ市場が拡大中

劉慈欣の長編SF小説『三体』がリメイクされた同名ラジオドラマ(以下、ラジオ版と略称)は2019年12月にシーズン1をリリース、現在シーズン2まで配信されており、合計再生回数は1800万回を超える。ラジオ版はオーディオプラットフォームシマラヤFMが投資する初の「大作」として、制作費が1000万人民元(約1.6億円)を超えたという。ラジオ版の制作は、現在国内において最も実力と人気がある声優事務所兼吹き替え制作会社「729声工場」(2016年設立)が担当し、全6シーズンに80話、30分/話の制作予定。


『三体』は世界各国でも原作小説の翻訳版が発売されるなど、世界的に有名なIPであるため、注目を集めるのは当然のことだが、原作小説だけでなくラジオ版も現在中国国内において、かなりの注目を集めている。2018年、以前にも本サイトで紹介した「魔道祖師」(腐女子を得るものは、天下を得る?中国BL市場と昨年大ヒットIP「陳情令」)のラジオドラマ版は猫耳FMで配信され、国内で最初にヒットしたラジオドラマとして、53万人が有料視聴し、合計売上が1300万人民元(約2.2億円)に達した。同年、中国の人気ネット小説サイト「晋江(ジンジァン)文学城」は合計92作品のラジオドラマ開発権利を許諾。平均で月7.7作の開発権利を許諾したが、2019年第三四半期では許諾作品は50作、平均月許諾タイトルは16.7作へと、わずか1年間で倍以上の数となった。「2019-2020年中国オンラインオーディオ番組研究報告」によると、2019年のオンラインオーディオユーザー規模が4.89億人であり、2020年には5.42億人に上ると予想されている。


オーディオ番組のユーザー規模が急増する上、有料ユーザーの割合が各コンテンツユーザーの中で最も多いことが特徴的である。データによると、シマラヤFMの登録ユーザーが3.5億人超、MAUのPV数は1000万PVに達し、その内有料使用者の割合が30%を占める。また、最も有料ユーザー割合が高い『懶人聽書』では70%に達している。


ラジオドラマ市場の再生


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