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多重レッテルの代名詞:韓寒

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若くして有名人になり、主流社会と論評を交わす

韓寒(ハン・ハン)は高校一年生から中国国内で文学賞を数多く受賞し、文学において素晴らしい素質を見せた一方、学校では期末テストで7科目の赤点を取った。この件がニュースで取り上げられたところ、社会で「学校では、専門的な人材を育成すべきか、総合的な人材を育成すべきか」に関して激しい議論が繰り広げられ、韓寒はこの議論の中心人物となった。その後、青少年生活をテーマにした作品「上海ビート/三重門」を発表し、再度赤点、留年を経験した彼は学校を退学した。


主流社会の認識では、青少年は学校で知識を身につけ、テストでいい点数を目指すべきだ。韓寒は文学において優秀な素質を見せたが、赤点を取ったことと留年したことは彼に「悪い学生」のレッテルを貼った。親や教師、他の学生の目からみれば、彼は理性的ではない、馬鹿馬鹿しい、反動的な行動を取っているおかしい人物であった。


社会民衆が彼を悪い例として青少年に注意喚起をしているなか、彼は連続で作品を発表し、その中にはベストセラーとなる作品も多数生まれた。また、プロのカーレーサーになり、たくさんの賞を勝ち取ると、その後、映画のテーマソングへの歌詞提供や、個人プロデュースの携帯アプリの発表、雑誌の創立などに取り組んだ…2010年4月、韓寒はアメリカ「タイムズ」雑誌の表紙に飾られ、オバマ大統領やビルゲイツと並んで「タイムズ」雑誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれた。


映画監督に転身し、作品を発表し続ける

2014年7月24日、韓寒が脚本と監督を担当した初の映画「いつか、また/後会無期」が上映された。この映画は最終的に6億元(94.1億日本円)超えの興行収入を誇り、監督デビュー作品の中で、興行収入は4位にランクイン。そして、この映画は公開時期が旧正月時期(中国における最大の連休)ではない映画の中で、一番早く5億元の興行収入を突破した作品である。また、数多く映画賞を受賞し、彼の初監督作品は、素晴らしい成果を見せた。作家から監督、文字から映像、媒体が変わっても彼の独特な表現スタイルは変わらない。


2017年1月28日、韓寒の2作目の映画「あの頃のあなたを今想う/乗風破浪」が公開され、中国内陸だけではなく、香港、台湾、北アメリカでも立て続けに公開された。この作品は最終的に興行収入10億元を突破し、誇らしい売り上げを記録した一方、1作目と比べると批判的な声をあげる人もいた。韓寒自身は映画監督としての道を歩み続けている。


2019年2月5日,韓寒監督の3作目「ペガサス/飛馳人生」は旧正月元日に上映され、2日間で売上は5億元を突破、累計興行収入17億元は彼が監督を担当した作品の中での最高興行収入を記録した。この作品を機に、彼は文学界から映画界へのシフトを達成した。また、注目すべきなのは「ペガサス/飛馳人生」の発行元は12社もある。亭东影业、上海博纳文化传媒有限会社、天津猫眼微影文化传媒有限会社、上海阿里巴巴影业有限会社(上海アリババピクチャーズ)、万达影视传媒有限会社など。さらに、その中の亭东影业の所有者は韓寒本人である。情報収集サイトによると、2015年7月に創立した亭东影业の代表者は韓寒本人、数多くの映画の発行元になっている。取締役は合計8人、その中でも韓寒は54.56%の株を所持しており、決裁権を握っている会社の代表取締役兼CEOである。


業界を超えて独特のスタイルを発揮

韓寒の3つの作品はわかりやすく、それぞれ統一されたスタイルがある。その1つは「作家スタイル」、1つは「自伝性」、1つは「プロ精神」である。3つの作品は彼自身が脚本を担当したため、登場人物には本人や彼の友人の影が見える。そんな中、「あの頃のあなたを今想う/乗風破浪」の主人公の名前は「穿越东方リレーカーレース」で亡くなった親友への思いが込められている。またこの3つの作品を並べると、作品ごとに傾向があり、「いつか、また/後会無期」は「作家スタイル」重視の作風、「あの頃のあなたを今想う/乗風破浪」には「自伝性」が感じられ、「ペガサス/飛馳人生」では「プロ精神」が表現されている。どの作品も、韓寒独特の色に染められ、前の2作品が文芸映画であるとしたら、3作目はそのレッテルを破るための野心の塊と言っても良い。


韓寒の文章は批評性に富んでおり、文字ごとに少年のような感覚が溢れている。彼は文字を使って生活や理想、青少年について語る。映画においては、その核心内容は変わらないが唯一、文字より映像の方が世界への赤裸々な嫌味が少なくなっており、その嫌味は彼の独創的なユーモアによって、婉曲的にスクリーンで表現されている。彼のこの世界への想いが変わることはないが、表現の方法を変えてそれを伝えている。


創作を続けている人間は、いつか限界を迎える。その限界は本人にコントロールできるものではない。新人監督として、韓寒は映画の道を数年間走ってきたが、彼のブランドは上がると同時に消耗されている。好奇心で映画を選ぶ視聴者がどんどん少なくなる中、作品の表現手法を買って映画を選ぶ視聴者がいる。しかし、独特すぎる彼のスタイルに頼ってばかりでは、いつかそのスタイルは成功を妨げる鎖にもなるだろう。過ぎたことは過去にすぎない、過去の作品は変えられない、過去の成功はすでに古いもの。韓寒の次の作品はどのようなものなのか、私たちは知る余地もない。だが、彼のスタイルに視聴者は慣れてきた。夢や生活、少年について語っても、夢はいつか消え、生活はいつか変わる、少年もいずれは歳をとるだろう。


ライター:阿倪(中国語) 日本語翻訳:ヤンユウ 監修:AKATSUKI


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