株式会社AKATSUKI

『二手玫瑰楽隊』独特の世界観を演出し、価値を提供し続ける人気ロックバンド

イメージ画像
*無断引用(転載)禁止

ロックバンド『二手玫瑰』

中国大陸で活動している一風変わったインディーズバンド『二手玫瑰(Second Hand Rose)』は、デビュー以来、万華鏡のように常に変化し続け、伝統的な民俗音楽にロックテイストを組み合わせ、そのユニークな価値観は芸術的価値と商業的価値を生み出し続けている。


独自ジャンルの形成:ロックと地方民俗音楽の融合

『二手玫瑰(Second Hand Rose)』とは、結成20年以上の中国大陸で中国一妖艶なバンドと呼ばれる人気ロックバンドである。1999年に結成した『二手玫瑰』は、かつて『芸之桟』、『大国文化』、『摩登天空』等のエンタメ会社やレコード会社と契約していたが、2015年にはインディーズスタジオ『為揺滾服務(ATR Team)』を立ち上げた。現在(2020年3月)のメンバーは、ボーカルとギターが梁龍、ギターが姚瀾、ベースが李自強、ドラムが孫権、チャルメラ等の民族吹奏楽器が呉沢琨、打楽器が雨龍(アメリカ人)である。


1977年に生まれたボーカルの梁龍は1999年に2度の上京失敗を経験後、ハルピン市(中国北東部)の小さな村「新華村」で『二手玫瑰』を結成した。その後の三ヶ月間を、彼らは農村にて小唄や民謡の収集に費やした。この時期の吸収と創造は、現在のバンドの音楽性に大きく影響していると言えるだろう。そして、最初のアルバムに収録された半分近くの作品はこの時期に作られたものである。2000年8月、北京のパブ『豪運』でデビュー。そこから北京のロック界に本格参入し、各地のバーやクラブで活躍し始めた。


『二手玫瑰』は東北地区の民間戯曲『二人転』の音楽要素を現代ロックと融合させ、「誇張されたパフォーマンスと舞台衣装」「深意が隠れる戯れ口の歌詞」「民俗音楽の活用」という際立った特徴を芸術に昇華させ、『二手玫瑰』のユニークなバンドスタイルを構成している。梁龍によると、化粧や派手な見た目は、舞台全体を表現する上で欠かせない部分であるという。2003年1月に、メジャー1stアルバム「二手玫瑰」をリリース。バンドが全国的に有名となったきっかけである。さらに、このアルバムは海外でもインディーズレーベルから発売されることになった。『Chinese Rock Database』はこのアルバムについて、「民族音楽とロックの融合が、ボーカルのビジュアルに負けないくらいに、妖しさ満天のアルバムになっている」と指摘した。


国内初の自主IP運営

『二手玫瑰』のプロダクト運営思案はより細かく、より現実的である。優れた音楽作品とライブパフォーマンスは、消費の体験を保証した上で、常に音楽ファンのニーズに焦点を当て、個人メディアという手段を通じて、バンドとファンを上手く繋ぎ、完全なユーザー消費システムを構築している。


『二手玫瑰』は自身の公式サイト(中国語・英語)、WeChatや微博(ウェイボー)及びFacebook(中国語・英語)等のSNSアカウント、タオバオショップ、bilibiliアカウントなどを持ち、長年運営している。タオバオショップにおいては、CD以外にもインスタント火鍋等のバンドとどう関係しているのかわからない、少々不思議なグッズも開発し販売している。


2007年4月、ネットユーザー「赤裸裸」は友人と一緒に、ファン同士のコミュニケーションプラットフォームとして「二手玫瑰ロックフォーラム」を設立した。同年9月に梁龍から公式フォーラムに指定され、後の「二手村」となった。それは、当時最も盛り上がりを見せたロック・フォーラムの一つとなった。


そして、ネット上のファンコミュニティーだけではなく、「二手村」もオフライン活動を多数開催している。例えば、ファン交流、バンドパフォーマンス、「村民」授賞などを主な内容とする「村民代表会」は、2009年12月12日から現在まで、開催されている。


音楽を美術館に:「二手玫瑰」の芸術クロスオーバー

『二手玫瑰』の魅力は、ロックバンドとしての音楽上の成績だけでなく、異なる種類の芸術の境界線を越え、「ロックショー」、「紅配緑ファッションショー」、「ロック運動会」、「芸術レコードインスタレーション」などのプロジェクトを数多く行っていることにある。 例えば、『二手玫瑰』の発案で、2014年10月に、北京798芸術区にある『AAWギャラリー』では、中国大陸と香港と台湾連合の初の「ロックをテーマとしての展覧会」及び特別公演を開催した。展示したものは、過去30年間の両岸三地からのロックソングの原稿、今まで未公開だったロック人物の写真、ロックアーティストが使ったドラムハンマー、ギター等のロックオブジェクトが含まれた。 また、2016年1月、『二手玫瑰』の曲「允許部分芸術家先富起来(意:一部の芸術家が先にお金持ちになれることを許可する)」で命名したインタラクティブメディア展覧会を同じく『AAWギャラリー』で開催した。この曲には24の歌詞があり、そして24名の芸術家が絵画、写真、ビデオ、インスタレーションなどの形式を通じて対応の1つの歌詞に関する自分の理解を伝え、インディーズ音楽と現代美術を融合させる。


『二手玫瑰』は「音楽は芸術を通じて現代に入り、芸術は音楽を通じて公共に入る」という理念を持ちつつ、芸術のクロスオーバーを実践し、既に一種の文化表象になったと言えるだろう。


終わりに

梁龍によると、『二手玫瑰』が持つ批判感は、社会に対して声を出すことであるという。ロック歌手は独自の観察と思考を持たなければならない。ロッカーは政治家ではなく、問題を解決する者ではない。しかし、ロッカーはアーティストであり、芸術の実践者であり、私たちの視線の中で問題を発見し、それを取り出して友人に分かち合い、この社会に分かち合い、この問題に対するいくつかの検討と公共の考えを広める必要がある。私たちはこの社会に判断と示すべき態度が必要だ。それは【ロック】というよりも、【ミュージシャン】が行うべきことなのではないだろうか。


『二手玫瑰』は、音楽の純粋性を保ちながら、商業価値のあるIPを作り出し、常に自分たちの価値を開拓し、多元化する。インディーズ音楽やライブ音楽のマーケットに飛躍的な発展が期待できる今後、『二手玫瑰』は中国本土のバンドの発展にモデルとなる価値を提供していると言える。


ライター:張 ケン  監修:AKATSUKI


Share